過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

ICUのガラス張りの個室に搬送され、数名のスタッフが手際よく機器のセットを行う。
生体モニターの数字が一つひとつ安定していくのを見て、神崎はようやく息を吐いた。

「血圧90台まで回復、SpO₂も維持。Hbは継続チェック。輸血は保留で様子見ます」

滝川が指示を出し、処置室から出る前に神崎の肩を叩いた。

「……今回は、運が良かったな。あの状態で病院まで戻ってきたのは、奇跡みたいなもんだ」

神崎は頷く。

「……あの子が、命を諦めなかったからです」