看護師たちが駆けつけると、病室の空気が一変した。
床に崩れ落ちた雪乃を、誰もが一瞬で「ただ事ではない」と理解した。
「すぐベッドに上げましょう!」
2人が体を支え、声を掛け合いながら慎重に雪乃をベッドへと移す。
その間にも雪乃の呼吸は速く浅く、胸が波打つように上下していた。
顔は血の気が引いて真っ白で、まぶたは半ば閉じかけている。
口元が震え、冷たい汗が額に滲んでいた。
「意識レベルJCS100。反応鈍いです」
「頻呼吸、RR34。脈拍128、頻脈傾向」
「SpO2は96%、維持できてます」
遠藤は患者モニターの数値を確認しつつ、他の看護師に指示を飛ばす。
「バイタルは任せます。神崎先生に連絡します!」
PHSを手に取り、素早く番号を押す。
――だが、つながらない。
コール音がむなしく続き、遠藤の眉がぴくりと動いた。
「出ない……!」
思わず声に出してしまった焦りを振り切るように、今度は滝川の番号を押す。
呼吸の乱れた音、電子モニターの警告音、看護師たちの手際よい動きのなかに、ひときわ緊迫した空気が張りつめていた。
遠藤の目は、淡い意識のまま寝かされた雪乃の顔を追い続けていた。
(早く、先生……)
雪乃の肩が小さく震えるたび、その願いが心の中で繰り返されていた。
床に崩れ落ちた雪乃を、誰もが一瞬で「ただ事ではない」と理解した。
「すぐベッドに上げましょう!」
2人が体を支え、声を掛け合いながら慎重に雪乃をベッドへと移す。
その間にも雪乃の呼吸は速く浅く、胸が波打つように上下していた。
顔は血の気が引いて真っ白で、まぶたは半ば閉じかけている。
口元が震え、冷たい汗が額に滲んでいた。
「意識レベルJCS100。反応鈍いです」
「頻呼吸、RR34。脈拍128、頻脈傾向」
「SpO2は96%、維持できてます」
遠藤は患者モニターの数値を確認しつつ、他の看護師に指示を飛ばす。
「バイタルは任せます。神崎先生に連絡します!」
PHSを手に取り、素早く番号を押す。
――だが、つながらない。
コール音がむなしく続き、遠藤の眉がぴくりと動いた。
「出ない……!」
思わず声に出してしまった焦りを振り切るように、今度は滝川の番号を押す。
呼吸の乱れた音、電子モニターの警告音、看護師たちの手際よい動きのなかに、ひときわ緊迫した空気が張りつめていた。
遠藤の目は、淡い意識のまま寝かされた雪乃の顔を追い続けていた。
(早く、先生……)
雪乃の肩が小さく震えるたび、その願いが心の中で繰り返されていた。



