過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

夕方の回診で滝川先生が来たとき、雪乃の胸は小さく高鳴った。

「明日の朝の回診で状態が安定していれば、点滴の後に3時間だけ一時外出しても良いですよ」と告げられた瞬間、心の奥に希望の灯がともった。

「ほんとですか？」と、思わず声が震えた。

滝川先生の条件は厳しかった。
「ただし、行き帰りは必ずタクシーを使って、1時間おきに連絡してください。守れますか？」

その言葉に雪乃は、これまでずっと我慢してきた不安や戸惑いをぐっと飲み込み、強く頷いた。
「わかりました。」

心の中では、ほんのわずかな自由がもたらす安堵と恐怖が交錯していた。
家に帰ることができるという期待に胸が膨らむ一方で、父親との対峙を想像すると、どうしても心の奥に重たい影が落ちる。

だけど、今はこの小さな希望にすがりたい。
どうか、何事もなく無事に外出できますように。
その思いが、雪乃の胸の中で静かに、しかし確かに強く燃えていた。