過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

雪乃は心のどこかで、自分のお願いが変な口実だったのではないかと不安だった。

あれから電気代や水道代の明細を何度も見返し、やはりずっと使われ続けていることを確信していた。

父親が家にいるのは間違いない。

「一度家に帰って様子を見てこよう」

でも、その思いを正直に話して許されるとは思えなかった。

気分が落ち込むたびに、決まって父に虐待される夢を見る。

過呼吸は苦しく、起こしてしまえば隠し通せるものではない。

家に行って、自分で父親の問題に少しでも変化の兆しが見えれば、気持ちも少しは落ち着いていくかもしれない。

でも、何でもかんでも神崎先生に頼ってばかりはいられない。

滝川先生も「帰れって言わないと、ずっと病院にいるから」と冗談めかして言っていたし、

もし先生が倒れたら、私は本当にまずい状況になるかもしれない――そんなことが頭をよぎった。