これはきっと、神様による、愚かな選択をしていた僕に対する罰なのだ。
僕は輪廻転生を信じている。万物生ける者はいずれ死に、天国へ行く。そこで神様に生前の行いを細かくチェックされ、その評価によって何に生まれ変わるか決められる。人間に生まれ変わるには、生前、相当な徳を積んでいないとなれない。とある人から聞いた話によると、よく大人でも、無差別に人を殺したり、飲食店の醬油差しをペロペロなめてみたり、どうしてこういう行動を起こすのか、どうしてここまで常識がないのか、いわゆる『頭のおかしな人』というのがいるが、こういう人は、人間に生まれ変わったのが、現世が初めてだという。前世はミジンコだったり、ナメクジだったりした人が、ミジンコ界やナメクジ界ではいい行いをして、徳を積み、死に、天国で神様から初めて人間に転生させてもらって、現世に生まれる。こういう人たちはいわば、『人間1周目』の人たちであって、人間としての常識やモラルがどことなく欠如しているという。でも、どこか常識やモラルのある人は、何度も人間に転生していて、そのことを本能的に覚えているから、そういうことはない。ミジンコやナメクジがいきなり転生して、人間1周目を送るのだから、そういう行動をとっても仕方ないのだという。
おそらく、僕が今死んで、天国に行けば、ミジンコやナメクジに転生させられるだろう。そして、ミジンコやナメクジを繰り返して、少しずつ徳を積んで、やっとまた人間に転生する。でもその頃には、やっぱりコンビニのおでんをツンツンしてみたり、飲酒運転で人を殺してしまったり、そういうモラルも常識も欠如した人間として死に、またミジンコやナメクジを繰り返すのだろう。
今からでも遅くはないのだろうか。しかし、徳を積まなければと気づいたときには、もうきっと遅いのだろう。
今、こうなってみて、初めて気づくバカな生き物なのである。僕もきっと、人間1周目の部類で、周りから可哀そうな目で見られているのだろう。



