ホリー・ゴライトリーのような女





2月3日まで、僕は生きた。そして、これからも生きていくことを決めた。あの年の2月3日はそれほど、僕にとって大事な日だった。


それにもかかわらず。人生は上手くいかない。


ちょうど日付が変わった2月3日の深夜。僕の身体を物凄い悪寒が襲ってきた。頭がふらふらとし、立って食器を洗うのも、座ってスマホをいじるのもしんどかった。ひどく頭が痛み、その日は早めに就寝した。


翌朝は、寒さで身体が震え、膝蓋腱反射テストで使うゴムハンマーで、頭の中からコツコツ叩かれているような痛みがあり、トイレに立つのだが、ふらついてしまい、横になるしかなかった。散らかり放題の部屋から、やっとのことで体温計を探し出し、計ってみると39℃超えの熱があった。その数字を見ると、途端に身体全体で不安を感じ、ベッドから一切起き上がれなくなった。


救急車を呼ぶべきか。


そこまでの考えに至った。吐く息が、あの日、鹿波と飲んだローストコーヒーを温められそうなくらい熱かった。救急車を渋り、代わりにタクシーを呼んで、近くの病院へ行った。長い綿棒を鼻に突っ込まれ、検査をするとインフルエンザと診断された。新型コロナウィルスが流行るよりだいぶ前のことだ。他の患者に感染しないように僕はすぐに病院から追い出され、タクシーに乗ってまっすぐ家に帰ってきた。布団に潜り込み、エアコンの暖房を入れて、パジャマ代わりに着たTシャツは汗でびしょびしょになっていて、風呂に入りたかったが、そんな元気はない。しかし、このままでいてもますます熱が上がりそうで、せめて着替えでもとは思うけれど、着替えまでが遠い。