ホリー・ゴライトリーのような女





死ぬことに抵抗はなかった。少しずつではあるものの、確実に死へと1歩1歩進んでいく。でもそれは、誰しもそうだ。生きとし生ける者、すべてこうしている今も、死へと1歩1歩進んでいる。


「誕生日ってめでたいものじゃないの。死へとまた1歩近づいたってだけよ」


と鹿波が以前に言っていたことを思い出した。それを聞いて僕は、なるほどと感心したのと同時に、なんて冷めた人間なんだろうと思った。誕生日や新年を迎えると、めでたいというだけで、真の意味を理解しようとしない。それは、生を受けて、生を繋ぐ者としては、あまりにも責任感がない。でも、本当にそれでいいのだろうか。たしかに事実ではあるけれど、それは確実に1日1日を曲がりなりにもちゃんと生きた証でもある。世の中、いろんな不安や悩みに溢れていて、いつだって溺れそうになる。それをかき分け、もがきながら、進んできた証。


生きているだけで、みんなえらい。


母親からLINEが来た。『元気にしとる?』という一言のLINEだった。僕はその一言で耐えられなく、たまらなくなって、母親にLINEを返した。


『頑張って、生きてます』