ホリー・ゴライトリーのような女





あれからしばらく経つ。この年の11月くらいのことだったと思う。


僕は窮地に追いやられていた。本当にしんどかった。金がなかったのだ。コンビニのアルバイトを辞めてから、新しいアルバイトを探した。電車で二駅先にあるコンビニや、近くのアパレルショップの面接を受けたが、「他の人に決まったから」、「喫煙者だから」という理由で、ことごとくダメだった。「アルバイトの面接なんか、落ちるやついないから」と同期の誰かが言っていたが、僕はそれに2回も落ちてしまったのだ。もうダメだ、僕なんて。もう、ダメだ。


専門に通うのには、奨学金を借りていた。奨学金は100%学費に使い、生活費は自分で稼がなければならなかった。実家からたまに、お米や、缶詰、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなんかは送られてきたが、それもすぐに底をついてしまう。タバコを買う金もなくて、灰皿に並んだシケモクを吸って、なんとかイライラを鎮めていた。


そんな中で、NHKの受信料の契約訪問がやってきた。僕の家には当時、テレビがなかった。ただ、使っていたスマホがテレビを受信できるものだということで、契約を交わされた。この出費は痛かった。契約がとれた38歳くらいの男性は、安堵したように帰って行った。そのNHK訪問員の背中を見て、「そうだ、もう死んでしまおう」と決めた。