ホリー・ゴライトリーのような女





僕はこの日、鹿波と一緒に帰った。鹿波はフードのポケットに両手を入れて、スキップをしながら歩いた。


「クズがさ」と鹿波がぽつりと言った。


「死んだの。今夜」


僕は、鹿波の部屋にいたフェレットのことを想った。目がクリクリとしていて、数珠玉のようだった。鹿波から、家を空けることが多くなったから、実家にフェレットを預けたとは聞いていた。5月の話だ。


「いつ知ったんだ?」


「さっき。連絡が来たの」


「そうだったのか」


僕はこういう時、どんな言葉をかけていいのか、当時もそうだったが、今でもわからない。「ご愁傷様です」とでも言えばいいのか。でも、日本語は生きていて、この「ご愁傷様です」という言葉、喪服に葬儀場という場所以外で使うと、なんだかバカにしているように思えてならない。


「クズは幸せだったのかしら」


「どうだろ。どれくらい生きたんだ?」


「ちょうど1年くらいかしら」


「1年」と僕は東京の暗い星空を仰ぎ見て言った。


「幸せだといいな」