ホリー・ゴライトリーのような女





支払いは、中山さんがやってくれた。


二人で歩く駅までの道中、僕は少し酔っていて、身体が左右に揺れた。それを中山さんは僕の肩をがしっと掴んで、「大丈夫かよ?」と笑いながらも、中山さんもふらふら、左右に揺れていた。


こういう時間が楽しい。こうやって、学生生活を送れるのが、僕は何より楽しかったし、美織の言う「自由」ってこういうことなんだろうなと思った。


駅で、中山さんとの別れ際、中山さんが僕の両肩にどかっと手を置いた。


「いいか? これからすることには意味がある」とさっきとは打って変わって真剣な顔だった。


「俺は正直おかしい。でも、それが俺であって、俺は俺らしく生きている。何人も俺を否定することはできないし、否定させてたまるかっつーの。だから、これは俺のエゴだ。でも、そのエゴにお前がいればすごくいいだろうなって思う。きっと無理だろうけどさ」


「どうしたんですか? 中山さん……」


「飲みすぎですよ」と言いかけたその時、中山さんは僕にキスをした。突然のことで戸惑っている僕の顔を見て、中山さんはニカっと笑った。


「俺、お前のことが好きなんだよ。人としてというより、男として。恋愛対象として」


そう言って、中山さんは駅の階段を上って帰って行った。