東広島駅に着くと、母親が車で迎えに来ていた。僕は、当時あった喫煙所でタバコを吸い、それから母親の車で実家に帰った。久しぶりの実家は、リビングが少し変わっていて、テーブルから、テレビまで新調してあった。帰る途中、夕飯にと買ったネギ玉牛丼を食べて、その日は眠った。
翌朝、僕は散歩がてら、近所の神社へ行った。夏の暑さが、東京とはまるで違う。サウナのような、むんむんとした暑さとは違って、直接の太陽の光が、肌を直接焦がすようなこの暑さ。いい。たまらない暑さだ。
神社へ着くと、お賽銭を115円入れて、お参りをする。済ませて、手水舎の横に備え付けられたベンチに座り、ぼーっと自然を感じる。木々が風でそよぎ、死と生の狭間にいるセミたちがそれぞれの方法で、自分を表現する。ポケットからタバコを取り出して一服でもすればいいだろうなと思ったけど、こういう場所で吸うことは、なんだか罰当たりのような気がして、やめた。別に吸いたいわけでもない。
案の定、少し時間が経って、美織が神社にやってきた。久しぶりに見た美織は、バッチリメイクをしていて、高校の時の印象とは少し違って見えた。
「美織、やっほー」
と僕は声をかけた。美織は少し驚いたような表情になり、軽く手を挙げた。
「帰ってたんだ」
「うん。って言っても、明日帰るけど」
「ふーん」と美織はお賽銭箱の前まで行き、お参りを済ませた。
「私に会いに来たの?」
「まあ、そんなところ。多分ここに来れば会えるだろうと思って」
「ストーカーじゃん」と美織は笑って、僕の隣に座った。
「どう、向こうは」
「それなりに。そっちはどう?」
「ぼちぼちって感じ」



