「たしかに、一緒に住んでいるようなものですけど」と清原が言って、僕は「ああ、言うんだ」と思った。
「別に付き合ってはいません」
「えー、じゃあ、清原ちゃんは好きでもない男と同棲できるような人なんだ」
「付き合ってはいないだけです」
「じゃあ、この人のことが好きなんだ?」
「好きですよ」と清原はジョッキに残っていたビールを飲み干して言った。
「でも俳優志望の人には、その先の未来は見い出せません」
「えー、応援してあげたり、支えてあげたり、そういうのが女の子って好きじゃない?」
「滝口さん、そういうの好きですか?」
「まあ、そう言われると、どうしても安定を求めちゃうけどさ」
「そうでしょう? 売れる売れないに限らず、私はそういう人と一生を添い遂げたいとは思いませんし、思えません。でも恋愛するなら、そういう先のことを見据えられるような人の方がいいに決まってます。決まってるんですけど、不安定でも、苦労するってわかっていても、それでも一緒になりたいって思えるのが本当の恋であって、愛になり得るものだと思いませんか? そこまでなれないってことは、やっぱり私にはそこまでの好きって感情はないんだと思います。好きなんですけど、好きじゃないんです」



