「そうですか? 素敵な役柄だと思うんですけど」と言って、清原は切った小玉スイカをテーブルに出した。
「ゾンビたちから彼女を守るために必死に戦う主人公ですよ。どこに不足があるんですか?」
「ゾンビって設定だよ」と清原の切った小玉スイカを一つ手に取った。
「そもそもだけど、ゾンビ映画って何が面白いんだ? ゾンビを題材にして売れた作品って何がある?」
「『ウォーキングデッド』とかあるじゃないですか」
「他には?」
「MVですけど、マイケルの『スリラー』とか」
「じゃあ、逆に。今までどれくらいの数、ゾンビを題材にして作品があるんだ?」
「それは……」
「そういうこと」と僕は2個目のスイカに手を伸ばした。
「あれだけ数多くのゾンビを題材にした作品があるけど、結局大成したのは、その2つだけだよ。ゾンビはアイデアを出す段階で、迷走した時に出る題材なんだよ。そんな映画。ましてや学生映画でゾンビを題材にって。絶対にスベるに決まってる」
「じゃあ、どうして受けたんですか?」
「経験として」
「なら、読むしかないじゃないですか、台本」
「それはわかってるんだよ。ただ、乗り気じゃないってだけ」



