ホリー・ゴライトリーのような女





清原は毎晩のように僕の家にやってきた。やがて、僕の家に入り浸るようになった。


僕の家でシャワーを浴び、GUで買ってきたパジャマに着替え、僕のベッドで眠り、そして学校へ行く。


僕は次第に、別に、特に、なんとも、思わなくなった。そりゃ、入り浸り始めの頃は、いろんなことに神経を使ったし、思わず目を背けざるを得ない場面にも何度も遭遇した。それもやはり次第に慣れ、何とも思わなくなった。


逆に、僕の家に来ない日は心配になってLINEで連絡を取ったりもした。「同棲してるわけでもないのに、変ですね」と清原に受話器越しで笑われたが、当たり前になっている日常に、当たり前じゃない要素が入り込めば、誰だって非現実的な世界へ誘われるし、僕も例外ではなかった。「いっそ、同棲でもしますか?」と清原は笑って言うが、その度に僕は丁重にお断りをした。合い鍵ももちろん渡していない。


鹿波は僕たちの奇妙な関係に気づいてはいるようだったが、特に何も言わなかった。だからと言って、頻繁に訪ねてくるようなこともなく、今思えば腫れ物にでも触るような扱いだったのかもしれない。それに気づいていれば、僕は何かアクションを起こしただろうか。いや、ない。別に、それは。ただ、鹿波との時間はどんどんと減って、減ったまま僕は清原と、クーラーの効きの悪い家賃45000円のアパートの1室で夏を迎えた。