ホリー・ゴライトリーのような女





「私が生徒なら」と清原は立ち上がった。


「きっとあなたみたいな先生、好きになってたと思います」


「それは人として?」


「いえ、教師としてですよ?」


「だよね」と僕も立ち上がった。


「デビューしたばかりの時は、きっとちょい役だったり、安っぽい恋愛小説の映画化の主役だったり、そんな役しかできないんだろうね。でも、いつか教師役があったらそれはそれで、諦めたはずの教師の夢が叶うってことにもなる。やっぱり映画ってすごいよ。作りたいものが作れるし、なりたいものになれる」


「でも、現実は結構厳しいですよ? 日本で映画を撮るには、一にも二にもスポンサーがいります。お金がいるんです。だから、一人でも多く見てくれるものを作らなきゃいけない。作りたいもので認められるとハッピーですけど、誰だって売れるかどうかわからないものより、売れるどうって思えるものにお金を出しますから」


「結局どの世界も同じってことなのかもね。需要と供給」


「ですね、需要と供給」


「キミには、僕の需要はあると思う?」


「思います。だって、ここに需要があるので」