ホリー・ゴライトリーのような女





僕は清原と河原に来た。清原はサワー系のお酒を持ち、僕はビールを持った。


「あの、スカイツリーがちょうど真ん中に来るアングルで、乾杯しませんか?」


清原の言われた通り、僕たちは乾杯をして、お酒を一口飲んだ。


「なんだか、河原でこうやって飲むのって、いいですね」


「そうだな」


スカイツリーを横切る京葉道路では、スピード違反でもしたのだろう。車かバイクか追うパトカーがサイレンを鳴らしながら飛ばしている。僕には免許がなかった。だから身分を証明する時は保険証しかない。ゲオのカードを作る時も随分苦労した。保険証とは別に料金収納のハガキが必要になる。


「清原は免許、持ってるの?」


「持ってますよ。と言っても、ATですが」


「ATでも十分いいじゃない。MTなんて運転する機会、そうないんだし」


清原は横浜に実家があって、実家から通っていた。横浜に実家がある人と出会ったのはもちろん初めてだったし、品もあった。思えば、あの夜だってそうだ。どこか他の人よりも品があって、好感が持てた。だから僕はあの時清原に話しかけたし、お酒の力を借りて、言わなきゃよかったことをベラベラ言ってしまった。その件については、お好み焼きを食べている時に散々謝ったし、周りからいろいろ言われながらも、清原は笑顔で許してくれた。


「実は私、転専攻することにしたんです」


「へえ、何専攻にするの?」


「監督専攻です」


「え? 監督?」意外な専攻が出てきて、僕は危うくビールを吹き出すところだった。


「でもさっき、映画はあんまりって」


「あれ、嘘です」と清原は笑った。


「私、あなたとどうしても話してみたかったんです。こうやって、二人っきりで」