ホリー・ゴライトリーのような女





僕たちは歩いて駅まで向かい、メトロの切符を買って、電車を待った。


電車はすぐにやってきて、乗り込む。この時間は比較的空いていて、僕も鹿波も離れたところだったが、座れた。もし座席が空いていたら僕は鹿波の隣に座っただろうか。いくら家が上下同士で一緒に来ているからといって、わざわざ電車まで隣同士で座る道理はない。これが映画を観るとき、食事をするときだったら、別だ。


イヤホンをして、音楽を聴く。ポルノグラフィティの『ウォーカー』が流れる。こののんびりとした曲調を無視するかのように、電車から見える窓外の景色は、物凄いスピードで流れていく。これが東京から離れていく景色だ。途中、葛西駅、浦安駅、南行徳駅、行徳駅と電車は止まったが、その景色が妙典駅に近くなるにつれて、親しみが持てるようになってくる。懐かしささえ感じることもある。この安心感は、今の東京では味わえなかっただろう。怪物はたしかにあそこにはいて、心の弱った者から順に飲み込んでいく。


妙典駅を降りると、大きなショッピングモールがあって、僕は鹿波の隣を歩いた。鹿波はまっすぐシアターへは行かず、フードコートで空いている席を見つけ、腰掛けた。


「まずはランチにしましょう」僕も鹿波の対面に座った。


「私はうどんにするわ。あなたはどうする?」


「そうだな」と僕はフードコートの周りを見回した。


「僕もうどんにするよ」