ホリー・ゴライトリーのような女





インターホンで目が覚めた。


出ると、綺麗な女性が立っていて、「お休みのところ申し訳ありません」と言う。まったくだと思ったが、『綺麗な』女性だ。


「キリスト教について、あなたはどれくらいご存知でしょうか?」


僕は全然知らないと答えた。すると、綺麗な女性は、懇切丁寧にキリスト教がいかに素晴らしいものかということについて説いた。世界でどれくらいの信者がいて、それがどれほどありがたいものかについて。


「こういうイベントも開催しているので、よろしければパンフレットに目を通してください」


と言われ、パンフレットを渡して、帰って行った。


スマホで時刻を確認すると、ちょうど12時だった。


僕はマルイで買った服に着替えて、歯を磨き、タバコを吸った。紫煙が白い天井にゆっくりと上がって、やがて消える。その繰り返し。この紫煙はすり抜けて、鹿波の部屋に行くということはないのだろうか。これから会う鹿波のことを考える。そう思うと、居ても立っても居られず、僕はユニットバスの鏡で、髪の毛をヘアクリームでセットした。ガチガチにワックスでセットしていた高校生と今は違う。こういうヘアクリームでトップを遊ばせるだけでいい感じになる。そう美容師のお兄さんが言っていた。それが美容師の戦略だとも思わず、まんまと。そう、まんまと買ってしまったヘアクリームを僕は髪に塗りたくる。