そんなことがあっただろうか。頭をめぐらせてみたが、どうにも思い出せない。 「それで、起こしていたっていうのは?」 「そうそう。ちょうど、餃子を包み終えたところなの。食べない? 餃子」 「餃子」開かれたドアの隙間から、キッチンへ目をやると、シンクの上に、焼く前の餃子が大量に置いてあった。 「普通にインターホンを押すのじゃダメだったのか?」 「普通って私嫌いなの。それはあなたも同じじゃないかしら?」 これは言っている言葉の意味がよくわかった。 「もらうよ。せっかくだし」