ホリー・ゴライトリーのような女





僕はその日の午後、日本舞踊の授業のために学校へ行った。1階エントランスでタバコを吸っていると、授業を終えた清原がちょうど帰るところで、僕を見つけるなり、駆け寄ってきた。


「鹿波さん、学校辞めたんだよ。何か知ってる?」


僕はそこでやっと鹿波が、部屋を引き払って、実家に帰ったことを知ったのだ。


清原の話によると、急に学校を辞めたらしい。いくつか撮影を掛け持ちしていたものだから、今、制作科では鹿波の代わりのメイクを探すのに、てんやわんやしているのだと言う。


「鹿波さん、ホントどうしたんだろう。こんな勝手なことして辞めるなんて。そういう人には思えなかったんだけど」


「そうだな」


とだけ僕は言って、清原と別れ後、もう1本立て続けにタバコに火をつけた。