ホリー・ゴライトリーのような女





そのまま、鹿波は僕の部屋を出て行った。開け放たれたままのドアの向こうには、騒ぎに気付いた大家さんが心配そうな顔で覗いていた。


「大丈夫です……大丈夫……なんでもありませんから」


僕は玄関のドアを閉め、その場にへたり込んでしまった。


「何なんだよ、クソ!」


そう一言呟いて、しばらくそこで座り込んで、それからまた立ち上がって。


鹿波の撒いた豆を足の裏で踏んでしまった。ボリッと割れた豆が不快だ。


「ホント、何なんだよ、クソ!」


鹿波にビンタされた左頬が痛い。触ると、濡れていて、僕はやっと泣いていることに気づいた。