続・おいしいものシルブプレ!! - l'année prochaine -

茶髪と金髪さんがニコニコしている。金髪さんは通常運転として、茶髪、おまえ誰だ。
「お先にどうぞ、マダム」
「あらー、ありがとうございます。
日本語お上手なのね」
「とんでもない。まだまだです」
「……」

私は手早くおばさんのレジを済ませた。おばさんはルンルンで「ぐっばーい」と言いながら出ていった。

「イケメンだからってすべて許されると思うな」
「先輩、イケメンの巨人に故郷の村を焼かれて全滅エンドだったんですか?」
「その設定よくわかんないし全滅してたらここに私はいないだろ」
呪詛の言葉を私は低く吐く。わけのわからないことを言うな後輩くん。
「レディーファーストだ」
「私もレディーだが!?」
しれっとしている茶髪に、私は思わず吠える。何が「マダム」だ。何が「レディーファースト」だ。
「おまえはレディーじゃねぇよ。ガキ」

(きえええええええええええええ!!)
茶髪に完全にバカにされ、私は完全にキレた。でもレジは打つ!!
「養子の話を鵜呑みにしたのか? チョロいな。You're so easy」
(きいいいいいいいいいいいいいいい!!)
「ごめんなさい!!」

腕組みした金髪さんが低い声で茶髪にそう言った。地を這うような声で。今まで聞いたことない。こんな声。
「ご、ごめんなさい……」
茶髪は素直に謝った。金髪さんがニコッと満足そうに笑う。
(綺麗だ。
でも、こわああああああああああ!!)

「いいこいいこ」
「No way!
I'm the same age as you!」
(「ふざけんな。おまえ俺と同い年だろ!!」)
思いがけず茶髪と金髪さんのパワーバランスを知ったところで、私は思った。
(強いな。このスイス人)