雪の精と白い夜

僕の両親は共働きで、ほとんど家にいなかった。

両親は僕に寂しい思いをさせまいと
いろいろ与えてくれたが、僕の心は埋まらなかった。

幼い頃の僕は、暗くなるまで
家の近くの公園で過ごしていた。

ある冬の日に月永(るな)と出逢った。
僕はまるで『雪の妖精』のような彼女に惹かれた。

僕と月永(るな)はすぐに意気投合した。

学校が終わると2人で公園に向かい、
暗くなるまで語り合った。

両親にほとんど逢えない僕の心は、
月永(るな)と一緒にいる時間に救われた。



月永(るな)は幼い頃から入退院を繰り返し、
学校に馴染めずにいた。

僕は月永(るな)がクラスメイトと打ち解けられるよう、
間に入ることにした。

それで月永(るな)に友達ができて、
学校で楽しそうにしているのを見ると、
自分のことよりも嬉しかった。

月永(るな)とは同い年だけど、
妹のような存在だった。



そんな月永(るな)への恋心に気づいたのは、
一体いつからだろう…?



思い出せないくらい、ずっとずっと前。