<翌年1月7日、金曜日の朝>

外は今日も雪がしんしんと降っていた。

僕、冬城 白夜(とうじょう はくや)
平凡な大学生の冬休みを過ごしていた。

こういう平和な日常のことを”幸せ”と呼ぶんだろう。

ただ、僕の幸せは大きく欠けていた。
大切な幼馴染が隣にいないから。

僕は月永(るな)の手術から1週間経っても
結果を知る勇気が出なかった。

(万が一、手術に失敗していたら…。)

そう思うと、僕の心が割れてしまいそうになった。

僕は月永(るな)が思うような”頼れるお兄ちゃん”じゃない。
本当の僕はこんなに弱くて、いくじなしだ。



僕は自宅のカレンダーをめくり、
”1年後の12月31日”に印を付けた。

その日は、月永(るな)の手術からちょうど1年後。
月永(るな)の余命が尽きるであろう日。

僕の『月永(るな)がいない人生』の
スタートラインになる日。

あぁ…やっぱり僕は冬が嫌いだ。

大好きな月永(るな)と出逢えた冬が、
悲しい区切りの季節になるかもしれないから…。