雪の精と白い夜

白夜(はくや)
『手術は成功するの?』

月永(るな)
「成功率は30%だって…。」

白夜(はくや)
『30%…。』

月永(るな)
「だから私、迷ってたの。」
「もし失敗したら白夜(はくや)に逢えなくなっちゃう…。」

白夜(はくや)
『……。』

月永(るな)
「手術を受けなければ、あと1年一緒にいられる…。」
「私はどっちを選んだらいいんだろう…って。」

白夜(はくや)
『僕はこれからも月永(るな)と一緒にいたい。』
『けど、それは月永(るな)の意志で決めてほしい。』
月永(るな)がどっちを選んでも応援する。』

月永(るな)
「…ありがと…。」

すごく不思議…。

他の誰のどんな言葉よりも、
白夜(はくや)の声だけで私は確信できる。

「大丈夫だよ」って。



月永(るな)
「私…手術を受けるよ!」
白夜(はくや)が背中を押してくれたから!」

2日後の月曜日、
私は病室から外を眺めていた。

曇り空に向かって何度も何度も、
白夜(はくや)の『大丈夫』を響かせながら。