ハルマの目は真っ直ぐで、その言葉には絶対的な自信を感じた。体育祭のための付け焼き刃の練習じゃない。小学生の頃からずっと、勝つために、1番になるために努力を重ねてきた。
彼の実力を誰よりも信頼しているのは彼自身だ。私もそれを理解している。


「……そうだよね。見に行くから、絶対勝ってよ。」

「ああ、当たり前だろ。」


ハルマが拳を突き出してきた。
彼の拳に合わせるように自分の拳を突き出す。
正直、今日は負けてもいいと思っていた。今までもそこまで本気で取り組んだことはなくて、早く終わって欲しいとさえ思っていた。


初めて、本気で頑張ってみようと思った。
思ったような結果を残すことが出来なくても、最善を尽くすことが大切なんだ。
ハルマの情熱に触発されたのはなんだか気恥しいが、今までで1番楽しい体育祭になりそうだ。