「今日は本当にありがとう。遅くなっちゃったよね、家までは送れないから気をつけて帰って。もし何かあったらすぐに連絡してね。」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ!ナギくんもお大事に。」
ナギくんの家を出て、帰宅する時も思考は巡ったままだった。まだ出会ったばかりで、彼の人となりはあまり知らないはずなのに生い立ちを知ったからだろうか。なんだか彼を放っておけない。
余計なお世話なのはわかっている。ただ、たとえ彼を救うのが誰であっても、優しいナギくんがいつか心から幸せだと思えるように、明るい光が差すことを祈るばかりだ。
