お兄ちゃんは中学の時からバレーをやっていて、昔から強いことで有名だった。勉強でも運動でもなんでも完璧にこなしてみんなのあこがれの的だったので友人たちからの質問攻めに耐えるのは中々大変だった記憶がある。
私は兄の大会には毎回応援に行っていたし、バレーをしているお兄ちゃんを見るのが好きだった。
何も聞いていないから大学ではもうやめてしまったかと思っていたのに……
「どうして言ってくれなかったの?知ってたら大会だって見に行ったのに!」
「ごめんごめん、俺も忙しくてそんなに活動してなかったから言わなくてもいいかと思ってさ。今度大会に出る時は伝えるよ。」
「ならいいけど…
忙しいって、どのくらい忙しいの?ちゃんと寝てる?」
みんなからは完璧な人間として見られていたお兄ちゃんだが、本当は誰よりも努力家なのを知っている。
毎日予習と復習は欠かさないし、土日に行うバレーの個人練習だって何度付き合ったかわからない。
