その後、バイト先が同じということで僕たちの距離は少しずつ縮まった。
正直、この時から既に彼女に惹かれていたのかもしれない。
今まで1度も家族のことを他人に話したことはなかった。わざわざ言うことでもなかったし、何より弱っている自分を見せるのは気恥しかった。自分で言うのもなんだが、友達は多い方だし、性格は活発な方だと思うので友人たちの期待を裏切るのではないのかと恐ろしかった。


しかし、アサちゃんには何か不思議な力でもあるのだろうか。彼女を前にすると今まで耐えられてきた想いが溢れ出し、自制が効かなくなる。


今まで1人で何とかしてきた。これからもずっとそうだと思っていた。
みんなの前では明るく振る舞い、両親の前では聞き分けのいい子供を演じる。その度に感じる孤独はどんどん大きくなっていった。
そうして生きていくうちに自分の本当の感情を探せなくなってきた。


本当の自分がもう分からない。

彼女なら、僕を見つけてくれるのだろうか。