初めて会った時、俺にはこの子しかいない
と思った。
きっかけはわからない。名前を呼ばれた時?手をつないだ時?
…まあ、そんなのはどうでもいい。アサが1番大切なことに変わりはないから。


昔から誰よりも可愛い子だった。
だからすごく心配で、どこに行くにも絶対に着いて行った。おつかいに行った時、公園へ遊びに行く時、通学も習い事も。
アサも嬉しそうだったし、それで良いと思っていた。


中等部に上がってからもそれは変わらなかった。アサは先に大人の階段を登ってしまった俺を見て複雑そうだったが、彼女を守るために俺が何事も先に経験することは当然のことだ。
だから生徒会長にもなった。大して効力はないかもしれないが、万一のことがあった時、人望や地位はあって損はないだろう。