「アサちゃんには本当に助けられてばっかりだな。恩返しをしたつもりなのに、また借りを作っちゃった。」
「借りなんて、私たち友達でしょ?そういうのはナシだよ!」
「たしかに…僕たち友達だもんね。
じゃあ、アサちゃんも何か困ったことがあったら僕に相談してね。」
「ふふ、もちろん!……そろそろ戻ろうか?みんな待ってるよね。」
「そうだね。気持ちも落ち着いてきたし、もう大丈夫。」
私たちは2人で部屋に帰った。部屋に戻ると彼の友人にからかわれたり、女子たちに睨まれたりもしたがもう後悔はない。彼の笑顔を取り戻せてよかった。
その後も特に問題はなくカラオケ大会は終わった。
先程のことが嘘かのようにナギくんはまたみんなの中心にいた。でももう手の届かない存在とは思わない。ナギくんだって1人で悩みこんでしまうようなただの男の子なんだ。
ひとりの人間として、等身大の彼と向き合えたような気がして少し嬉しかった。
