「あ〜バレてた?わかんないようにやったつもりなんだけど…恥ずかしいな。
一応、この間のお礼のつもりで。ずっと隅の方にいるし、もしかしたら歌うのあんまり好きじゃないのかなって思って。」


ナギくんがそう言ってくれて、私は心底ほっとする。ひとまず勘違い女にならずには済んだようだ。


「うん。すごく助かったよ。いつも友達の前でしか歌わないから流石に緊張しててね…」

「まあ、そうだよね。こんなにたくさんの人がいたら緊張もしちゃうよ。」


そう言うと彼はひとつため息をついた。やっぱりなんだか疲れているようだ。このような場に慣れている彼でも辛く感じることがあるのだろうか。


「ナギくんも、疲れたりするの?」

「え、僕?」