そう思い、私も彼の後に続いてするりと部屋を抜け出した。歌も歌わず、隅でじっとしているだけで存在感のない私は特に疑われることもなく抜き出すことが出来た。


「あ、いた…」


ナギくんは部屋から少し離れた場所に立っていた。やはりなんだか疲れているような…?
お礼と一緒に体調も聞いてみよう。


「ナギくん、おつかれ。」

「あ、アサちゃん?お疲れ様。」

「さっき私にマイク回ってきた時、庇ってくれた?」


そう言った後に自分の発言を後悔する。


(庇ってくれたって何?普通に自分が歌いたかっただけかも。これじゃナギくんのこと狙ってる勘違い女みたいじゃない?)


考え始めると思考は止まらず、冷や汗が止まらなくなってきた。