お兄ちゃんはそう言うと、俯いてしまった。昔は隠し事なんて何もなくて、秘密も全部2人で共有してた。いつの間にかお兄ちゃんが考えてることがよくわからなくなって、物理的な距離だけでなく、心まで離れてしまったように感じていた。
未だにお兄ちゃんが考えてることが全てわかるわけじゃない。でも、今日は少しだけ本音を聞けた気がする。
「もう暗い話は終わり!ご飯食べようよ、お腹すいちゃった。」
「あぁ、俺準備するからゆっくりしてて。」
「ダメ!せっかく仲直りしたんだから一緒に準備しないと!」
「はぁ……わかったよ、とりあえず風邪ひくから着替えて暖かい服着てきな。」
「はぁーい。」
今日は1日大変だったけど、ちゃんと仲直り出来て良かった!せっかくだし、ご飯を食べたらお風呂に入って、お兄ちゃんと映画でも見よう。きっと私が好きな映画を探してくれるはずだ。
悩みが解決したことで浮かれていた私はスキップしながら自分の部屋へ向かった。一人苦しみ続ける兄の気持ちなど知らずに___
「こんな気持ち、お前に知られるわけにはいかない。」
