理由はわかっている。普通の喧嘩なら問題が解決するまで仲直りすることはないが、私が泣くと途端にお兄ちゃんは折れてしまうのだ。まるで最初から喧嘩なんてしていなかったみたいに、自分の感情を押し殺してしまう。

昔はそんな彼に甘えていた。もう子供じゃないのに喧嘩で泣いてしまったのも恥ずかしくて素直に謝ることが出来なかった。
でも、今回はそれじゃダメだ。いつもみたいな子供の喧嘩じゃない。このまま甘えてしまったらもう二度と兄の本音を聞くことは出来ない気がした。


「ね、ねぇ…お兄ちゃん、話したいことあるんだけど。」

「……どうした?」

「あのね、」

「待て、座って話そう。喉乾いた?お茶とココアどっちがいい?」

「えっと、ココア……」