「あそこから球が飛んでくるから、このバットで打つだけ。簡単だろ?」
「簡単って……私は初めてなんだからそんな上手くできないよ!」
私は運動部に入っているわけでもなく、特別体を動かすことが得意というわけでもないので、全く自信がなかった。バットを振るのなんて、小学生の時に体育でソフトボールをやった時以来だ。
私が弱気でいると、ハルマは悪人のようにニヤッと笑った。
「ふーん、出来ないんなら仕方ねえな。お前の負けってことで、オレ一人でやってるから帰っていいぞ。」
「な、なにその言い方!アンタが誘ったんでしょ!?」
「強がんなくていいぜ、誰だって苦手なことの一つや二つあるからな。」
「〜っ!言わせておけば!そこで見てなさい、ホームラン打ってきてやるから!」
