「もういいでしょ、私行くから…」
「ちょっと待て、あー、いや………」
これ以上この空気に耐えられなくて、逃げるように帰ろうとするとハルマが引き止めてきた。ごもごもと口籠もったかと思うと、予想外なことを口にした。
「……この後時間あるか?バッセン行こうぜ」
「バッセン…?」
「バッティングセンター、気分落ち込んでる時はグズグズ考えてないで体動かすのが1番いいんだよ。ほら、行くぞ。」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってよ!」
了承する間もなく、ハルマはおもむろに私の腕を掴み、そのままズンズンと足を進めて行った。
◆
「ここがバッティングセンター………」
「初めてか?別にそんな珍しくもないだろ。」
ハルマは手慣れたように準備を済ませ、私にバットを差し出す。
