溺愛サバイバル!?


「ほら、好きなの選んで…って、え!?どうした?」


自分でも気づかないうちに、涙が出てしまっていたようだ。
小さい頃、泣き虫だとからかわれるのが恥ずかしくて、大きくなってからは気をつけていた。でもやっぱりお兄ちゃんの前ではうまくいかない。


「アサはよく泣くんだね。ほら、顔洗っておいで。」


骨ばった人差し指で目尻の涙を掬い、優しく頭を撫でられる。
きっとお兄ちゃんは、私が泣き虫だったことも忘れているんだろう。私が泣く時は、いつだってお兄ちゃんが関係していることも。


こんな気持ちになるぐらいなら、私もお兄ちゃんのことを忘れることが出来たらよかったのに。





「も、もうお腹いっぱい…」

「もういいの?じゃあ俺が全部食べちゃうよ。」