段々と遠くなっていく小さな背中を見つめながら、さっきの会話を何度も反芻する。
告白、好きな人…
彼女の口から聞きたくなかった言葉ばかりだ。


勝手に好きになって、諦めて、傷ついて。僕がこんな人間だなんて知ったら、彼女はどんな顔をするんだろう。
あの笑顔が失われるぐらいなら、何も知らないままでいて欲しい。


こんなに臆病で、彼女と違って自分の気持ちを伝えようとすらしなかった。
何も出来ていないくせに、「行動にうつすだけ」だなんて


「僕が言えることじゃないよなぁ…」


目頭が熱くなる。
恋がこんなに苦しいものだなんて、知らなかった。彼女も同じ気持ちなんだろうか。
僕と違って、彼女は流す涙すらも綺麗なんだろう。


それを僕が見ることは一生ないだろうけど。