「何もないならいいんだけど…アサちゃん、なんだか悩んでそうだったから。」
やっぱり、ナギくんにはお見通しだったみたいだ。目が合って、彼の薄く形の整った唇が緩く円を描く。
「僕、アサちゃんにすごく救われたんだ。」
「…私に?」
「うん、だからもし君が困ってるなら、僕も力になりたい。僕達、友達でしょ?」
その言葉にハッとする。自分の問題だからって、何でもかんでも一人で考え込んでしまっていた。
友達なんだから、彼に相談したっていいんだ。
「もちろん無理にとは言わないよ。言いたくないことなんて、誰にだってあるしね。」
そう言って、少し困ったように笑う。きっと勇気を出して言ってくれたんだろう。優しい彼は、困っている人を放っておくことなんてできない。
