本当は薄々気づいていたのかもしれない。ぬるま湯のような兄の優しさに甘えていた。今までの関係を壊したくなくて、自分の気持ちに蓋をしていたんだ。
「…なんだよ、その反応。まさか図星か?」
「……違うよ、そんなんじゃない。」
感情がごちゃごちゃになり、声が震える。悲しみ、怒り、動揺、どれもしっくり来ない。最悪の気分だ。胃の中をかき乱されているようで、吐きそうになる。
もう、涙が出ているのかすらわからない。顔を上げられず、ハルマの顔を伺うことが出来ない。声には怒気が含まれていた。
「下手な嘘つくんじゃねえよ…好きなんだろ!?ヨルのことが!」
「……」
