秘密基地と言っても所詮は子供が作ったものだ。置いてあるものはサイズが小さく、椅子なんて座れるかどうかもわからない。大の大人がここに来てやることなんてほとんどないだろう。
森の少し奥にあるため決して見晴らしが良いわけではない。木々の間から綺麗な夜空が見えるくらいだ。
「そんなの、理由は1つしかないだろう。」
「?」
「君との思い出を忘れたくなかったんだよ。」
思えば、お兄ちゃんは昔から記憶力が良かった気がする。私との約束はどんなに小さなものでも忘れたことがないし、両親すら覚えてないような幼少期のことも覚えていた。
それはただの彼の特性だと思っていたし、そこに特別な感情なんてないと思っていた。
