急に大きな声を出したからか、お兄ちゃんは驚いて目を見開く。そんなことは気にしていられず、私は捲し立てるように話し続ける。
「秘密基地だよ、秘密基地!今すぐ行こう!」
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私が小学4年生くらいの頃、秘密基地を作りたいってワガママを言ったことがあった。家の近くとか、誰かに気づかれちゃうような場所は嫌で、お兄ちゃんをすごく困らせたと思う。
そこでお兄ちゃんはいつ見つけたのか、ある日いい場所があると、そこへ連れて行ってくれた。
そこは裏山の茂ってる道を抜けたところで、そう簡単には人に見つかるような場所ではなかった。私は本当に嬉しくて、すぐお兄ちゃんに飛びついた記憶がある。そこから私たちは毎日秘密基地へ行った。お菓子、小さい椅子、漫画。少しずつ私物を増やしていって、私とお兄ちゃんだけの楽園は完成した。
