返す言葉がなくて黙ってしまう。
そのずっとを奪ったのは私だから。記憶をなくしたのだってお兄ちゃんのせいじゃないのに、本当に何も覚えてないんだって悲しくなって、八つ当たりしてしまう。
まだ自分の感情が整理できなくて、お兄ちゃんの前だと取り乱してしまう。こんなことがしたいわけじゃないのに。
「ほら、もう立ち話は終わりにしよう。お腹空いただろ?」
振り向いて、優しく私に話しかける。いつもだったら素直に返事ができるはずなのに、今日は出来なかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…