医者からの説明を終え、お兄ちゃんの部屋へ戻る。
お通夜のような空気だったがお兄ちゃんに気を遣わせるわけにはいかないと、なんとか涙をこらえ、部屋に入る。お父さんとお母さんはまだ事故の処理などがあるようで、お兄ちゃんと少し話すと帰ってしまった。
部屋に2人で残され、重い沈黙が流れる。
いつもなら話が途切れることはなかった。どちらからともなく話題を出していたし、一緒にいてこんな気持ちになることなんてなかった。
私の気持ちを察したのか、お兄ちゃんは話し始める。
「アサ、ちゃんは身体大丈夫?痛むところはない?」
どこかぎこちなく私の名前を呼ぶ。
呼び方も接し方も、いつもと全然違くて、また泣きそうになる。
アサちゃんなんて1回も呼ばれたことないよ。私たちそんな関係じゃないでしょ。
心の中ではそう思っていても、怖くて口に出すことは出来ない。
