そう言うと、いつもは怖い印象を与えるツリ目を綻ばせながら、なんだか嬉しそうな顔をして黙ってしまった。




「もうお腹いっぱい!あと食べて!」

「はぁ……こっち寄越せ。」


うんざりした顔をしながらも、昔からずっと私のお願いを聞いてくれる。お兄ちゃんにお願いを断られたことはないし、約束だって破られたことは無い。1度も。

私の本当のお父さんは私がずっと小さい頃に事故で亡くなったと母は言っていた。それからお母さんは1人で私を育て続けてくれたのだ。だから急に新しいお父さんが出来ると言われた時はすごく驚いたけど、嫌ではなかった。お母さんには幸せになって欲しいのだ。