久しぶりにお兄ちゃんとゆっくりできて、調子に乗っていたんだと思う。まだこの時間が終わって欲しくなくて、ついワガママを言ってしまった。


「ねえ、このあと本屋行きたいな。」

「…いいよ、今日だけね。」

「やった!お兄ちゃん大好き!」

「…はあ、調子がいいねお前は。」


呆れつつも私のお願いを断ることはしない。
そのまま会計を終え、外へと出る。本屋はカフェから近く、わざわざ車で行くことはないだろうと、歩いていくことになった。


本屋へ向かうまでには少し見通しの悪い信号があり、交通事故が多いためか警告の看板が多く立てられている。しかし私はもう高校生だから、大丈夫だなんて根拠のない自信で油断してしまっていた。


信号は青信号だった。私が何も考えずに真っ直ぐ歩き続けると車が突進してきた。急のことで私は咄嗟に体を動かすことが出来ず、硬直してしまう。


「アサ……っ!!」

お兄ちゃんの声が聞こえて、鈍い痛みが身体を襲う。その後のことはよく覚えていない。気がついたら血まみれのお兄ちゃんが目の前で倒れていて、身体を動かしたいのに思うように動かせない。お兄ちゃんに手を伸ばすも届かず、私の意識はそこで途切れてしまった。