だから決めた。あの子が求める限りは優しい兄を演じ続けると。今更離れるなんて考えられない。それなら、今まで通り彼女にとって1番信用に足る人間になるしかない。
兄でも、友人でも、他人でも、あの子が望むなら何だってなろう。俺たちの関係に名前なんて必要ない。お前が必要としてくれるなら俺はなんだってしよう。
愚かな俺を許してくれ。
永遠に終わらない橋を歩いているような感覚だ。あの子への想いは尽きることを知らない。
初めてアサに出会った時、自分の人生が決まった気がした。運命なんてくだらない言葉じゃ片付けられない。きっと俺はアサのために産まれたんだって思った。
眠る彼女の手首に一筋のキスを落とす。
もし彼女が起きていたら、くすぐったいとクスクス笑うのだろう。そうして俺は再び口付ける。彼女が何も知らないのをいい事に。
