学校が終わり、急ぎ足でカフェに向かうと、夜空のような綺麗な黒髪が見えた。


「お兄ちゃん!」

「アサ、お疲れ様。」


どうやらお兄ちゃんは先に着いていたようで、カフェの入口で待っていてくれた。


「今日は進学祝い。好きな物頼みな。」

「やったー!お兄ちゃん大好き!」


お兄ちゃんはよくこのカフェに連れていってくれる。高校が私と同じで、一緒に通っていた頃はよく帰り道に寄って、いつも私に好きなだけ食べさせてくれた。お兄ちゃんは学生の頃、ずっと成績はトップで、運動もできて優しくて、自慢の兄だった。そんな完璧な兄はみんなの憧れの的で、そんな人が私には特別優しいのが無性に嬉しかったのを覚えている。