「ごめん、時間使いすぎたよね。話聞いてくれてありがとう。それじゃあ、また後でね。」
それだけ言うと、ナギくんは人混みの方へ帰っていった。失礼な態度を取り続けるハルマを前にしてもあんなに穏やかだなんて、ナギくんはどこまでいい人なんだろう。
それに比べてこの男は………
私はいつもより少し強めにハルマの脇腹を突く。
「何あの態度?ナギくん困ってたじゃん!」
「もうすぐ始まるってのにあいつ話が長ぇんだよ。大体お前のこと大して知りもしねえくせに大切な人とか意味わかんねえ。
それに……」
饒舌に話し始めたかと思えば、急に言葉に詰まり、黙ってしまう。
「それに…何?」
「…チッ、なんでもねえ。」
ハルマは何か言いたそうな顔をしていたが、引き止める私の声を無視して校庭へ早足で向かってしまった。
